絵本Q&A
 絵本は子どもの感情を豊かに育ててくれるとても重要な存在です。また同時に子どもの語彙を増やしてくれる役割もあります。子どもが乳幼児期にたくさん絵本に触れる機会を持つことで、お子さんの育ちにおいて欠かすことのできない情緒や社会性を育むことにつながります。
 みなさんも感じられていると思いますが、仕事をする上でもっとも大切なものはコミュニケーション力と国語力です。本好きになることでこの2つの素地が育っていきます。10歳までにどれぐらい書物に触れているかでその人の将来の国語力が決まると言われます。小さいうちから絵本を通して、お話や絵、写真のもつ楽しさや不思議さ、面白さにより言語や芸術に興味関心を持つことで、子どもの将来の可能性が広がっていきます。
 このような意図から当園では年間数十冊の絵本を教育・保育課程の中に位置付け、絵本を通して子ども達が文化や出来事を知り、理解してけるような取り組みを行っています。
 さらに当園では、ご家庭での絵本の読み聞かせを推奨し、親子関係の絆を深め、子どもの成長・発達につながるような支援をしていきたいと思っています。

目次

  1. 1.絵本に関する素朴ななぜなに?
    • 絵本ってどうやって選ぶの?
      絵本ってどうやって選ぶの?
       絵本と紙芝居の違いをみなさんは、お分かりですか?両者はよく似た存在ですが、少し役割が異なります。絵本は主に少人数向けで、紙芝居は大人数向けに作られています。保育ではどちらもよく使用しますが、家庭では主に絵本が活躍することとなります。今回は絵本の持つ良さを少し紹介したいと思います。保育者になるためには、児童文化や保育内容言葉の授業で絵本について勉強します。僕も現在、大学で保育内容言葉の授業を担当しており、学生の前で絵本の役割や意義などを話します。その時によく聞かれることが、絵本の選び方と絵本の読み方です。どちらもさまざまな書籍が出版され、色々な考え方が紹介されていますが、ここで紹介することは、その色々な考え方の一つとして捉えていただければと思います。

       まず、絵本の選び方ですが、一番大切なものは、お子さんの興味関心がどこにあるのか、ということを考えてみるとよいかと思います。興味がなければ子どもは絵本に耳を傾けてくれない可能性があります。子どもはとても正直です。まずはこれをスタートにしてみてください。

       次にお子さんの発達に注目してみてください。乳児と幼児では絵本の役割が異なります。乳児では自分がすでに体験したことを追体験しながらその物と絵本とを結びつける再認の役割が絵本にあります。このため、1歳以下のお子さんの場合は、リアルな絵や写真が良いと思われます。しかし幼児になると、絵本の役割は変化します。物語の内容へと少しずつシフトしていくわけですが、発達にあったものでないと、子どもには絵本が楽しくうつりません。2~3歳の子どもに複雑な内容は理解できないですね。絵本に「〇歳向け」などのような記載がある場合、一つの目安にしていただくと良いかもしれません。そして、年齢が高くなると、絵本がもつテーマや性質が子どもにとって将来役に立つ、もしくは問題解決になりうるものか、という視点で選ぶこともできます。例えば、ルールなどの規範や道徳性を、絵本を通して身に付けてほしいというような親としての子どもへの願いや思いを伝える役割です。

       最後に親として絵本を読んでみて面白いと思えるものであるということも重要な判断基準になります。絵本の大きな利点として、絵本を通して親子で感情のキャッチボール(双方向での感情の行き来)ができるという役割があります。これは絵本の読み方に繋がることですが、読み手である親が絵本を読んで面白いと思ったり、感動したりしないと子どもとその感情を分かち合うことができないということです。つまり、子どもに面白いと思ってもらえるためには、親が面白いと思い、その面白さを子どもに伝えようとする気持ちが大切だということです。

       絵本の読み方としては、読み手が面白いと思うところを面白く読んであげればよいわけです。絵本の専門家の先生の講演を聞いた時に「絵本は抑揚をつけずに読まないと子どもが考えることをしません」と言われていましたが、絵本の読み聞かせを通して読み手と聞き手がコミュニケーションをしている(感情の行き来をしている)と捉えるならば、絵本の専門家の言うような読み方は意味をなさないものになります。専門家の言う読み方は少し年齢の高くなった児童期以降の方法ではないかと感じます。

       以上のように絵本を選ぶ際にはお子さんの興味・関心、発達、親の願いや思い、そして選ぶ本人が面白く思ったり、感動したりしたものを基準にして絵本を選んでみるのも一つの方法だと思います。
    • 絵本とビデオが同じ内容だったらどちらを選びますか?
      絵本とビデオが同じ内容だったらどちらを選びますか?
       もし絵本とビデオが同じ内容だったら、みなさんはどちらを選びますか?時間があるかないか、もしくは考え方によって選ぶ対象が変わりそうだということは想像できるかと思います。でも、可能だったら、ぜひ絵本を選んでみてください。絵本には、読み手と聞き手とのコミュニケーションを果たす役割があります。そこには、読み手と聞き手との間に感情のキャッチボールが成されるわけです。ですから、読み手は聞き手のことを考えて読むスピードを変えたり、面白そうな場面では面白そうに読んであげたりと、絵本を通してそこには双方向のやり取りがあるわけです。でも残念ながらビデオやDVDにはそのようなやり取りが成立せず、一方向のみの情報の伝達に終始することになります。絵本は聞き手のことを思い、考えて読んであげられるところに特徴があります。それがビデオ等のメディアには不可能なところです。ぜひ、絵本の読み聞かせはコミュニケーションの一環だという気持ちをもってもらえると、メディアにはない良さを子どもと共有することができるようになります。
    • ちょっと違った絵本の楽しみ方
      ちょっと違った絵本の楽しみ方
       絵本の役割はたくさんありますが、絵本を楽しむためにはどのようなところがポイントになるでしょうか。まずは、絵本はその名の通り、文字と絵がセットとなった読み物になります。物語絵本の場合は、どうしてもストーリーに目が行きがちですが、絵にも注目してみてください。言葉以外の絵が語るものに注目すると、絵が言葉を補っていることにも気付くことになります。つまり、絵を見て想像することで、内容の理解を促す役割があるということがわかると思います。絵だけを見て絵本の世界を感じてみるのも絵本を楽しむ一つの方法です。
      次に、言葉の表現に注目してみてください。内容だけではなく、その表現や語のリズムなどに着目すると、その絵本の文章表現が理解でき、子ども達に読み聞かせるときに役に立ちます。
      子ども達の作品がオーナメントに!
       ついつい物語絵本を選ぶ場合は、その内容だけに気が取られてしまいますが、このような2点を視野に入れてみると、意外な絵本の面白さに気付くことができますよ。
    • 子どもはどのようにして絵本を楽しむのか?
      子どもはどのようにして絵本を楽しむのか?
       物語絵本の場合、子ども達はストーリーが理解できるようになってくると、絵本の世界に自分自身を位置付けてストーリーを楽しむようになります。その証拠として、絵本を読み聞かせている時に、主人公がこけてけがをすると「痛い」とか、「キャー」というような声を発する子どもが出てきます。これは主人公に自分自身を重ね合わせている結果です。もしくは、登場人物が危険な目にあいそうになると自然と子どもたちの口から「危ない」というような言葉が発せられます。これは非現実の世界と現実の世界の間に位置し絵本の世界に引き込まれて絵本を楽しんでいるからです。大人も映画を見ている時に入り込んでしまい同じような感覚をもったことのある方も大勢いらっしゃると思います。ぜひ、絵本の世界を楽しめるような感性を子どもが持てるように大人も絵本を楽しんで読んでみるということをしてみてください。そうすればきっと子ども達の反応も変わってくると思います。
    • 絵本を通して家庭で豊かな時間を
      絵本を通して家庭で豊かな時間を
       絵本は読み手と聞き手とのコミュニケーションであると、当園の絵本Q&Aでは再三にわたって述べてきました(当園のホームページに子育て支援サイトがあります。その中に絵本のページがあります。ぜひご覧ください。)。そこで、一つ皆さんに気を付けていただきたいことがあります。それはスマホなどのメディアがこのコミュニケーションを危うくする存在でもあるということです。子育てをしている中で、子どもが騒いでしまい、仕方なくスマホなどを子どもに与えてしまうことはあるかと思います。不思議なもので、泣いていた子どもにスマホを与えると、ピタッと泣きやんでしまうので、驚いてしまいます。そのような効果をご存知の方も多いかと思います。そうすると、ついつい子どもを静かにさせるためにスマホを与えてしまいがちです。もしそうであるならば、スマホを全く与えないでといっているのではなく、家ではスマホで遊ばせる時間を絵本の読み聞かせにしてみてはいかがでしょうか、という提案をしたいと思います。
       スマホやテレビは子どもを静かにさせる効果が絶大ですが、言い換えれば、それだけ刺激が強いということです。しかもこの刺激は人と人との心の共有ではないところに問題があります。乳幼児期からこのような刺激の強いメディアに長時間接していると、子どもには様々なよくないことが起こる可能性が出てきます。日本小児科学会でも「スマホに子守をさせないで」という啓発ポスターを10年ほど前にも出されたぐらいです。そこでは「赤ちゃんの育ちをゆがめる可能性がある」「親子の会話や体験を共にする時間が奪われる」といったことや、大人がスマホを使いすぎることで、「赤ちゃんの興味・関心を無視してしまい、安全に気配りができなくなる」などの指摘がなされています。長時間のメディア接触による子どもへの影響として、子どもの言葉の発達の遅れや、集中力、思考力の低下なども指摘されています。
       ぜひ、スマホを絵本に代えて、子どもに絵本を読んでみませんか。言葉と絵を通して子どもと思いを共有でき、絵本の読み聞かせをしてもらうことで、読み手(親)の自分への愛を子どもが感じることにもなります。絵本の読み聞かせが、わが子との新しい出会いになるかもしれません。
    • 子どもにとってよい絵本とは
      子どもにとってよい絵本とは
       子どもによってよい絵本とはどのようなものでしょうか。いろいろな考え方があるかとは思いますが、まずは絵本の利用をどのような目的で考えているかが関係していると思います。日本と諸外国では絵本の読み方が異なることを別頁で述べていますが、同様に絵本に何を求めているかによってよい絵本は異なるものだと考えられます。しかし当園では、絵本は子どもが楽しむためのものだと考えています。そして、絵本は大人に読んでもらうためのものだとも考えています。子どもは絵本を大人に読んでもらうことで、さまざまなことに気付き、感じ、そしてそこから色々なことを考えていくのだと思います。その過程で、子どもの言葉の発達が促され、感性が豊かになっていくのだと思います。そのような意味から、まずは子どもの発達にあった絵本が良い絵本の条件としてあげられると思います。次に、子どもが楽しいと感じられるものである必要があります。そして読んであげる大人が楽しい、面白い、子どもに読んであげたいと思えるものであることも必要です。なぜなら、絵本は子ども自身が一人で読むものというよりは、大人が読んであげることで子どもにはその絵本がまるで生き物のように映るようになるからです。読み手の感情が子どもに伝わるという意味から、大人が楽しいと思えるものでなければ、子どもは楽しめないでしょう。
       良い絵本というのは何もベストセラーだけが良いのではなく、上述したような条件に見合う絵本が読み手と子どもとの関係においてよい絵本と言える存在になるのだと思います。
  2. 2.絵本ってどうやって読むの?
    • 絵本を子どもに読み聞かせる上での留意点Part1
      絵本を子どもに読み聞かせる上での留意点Part1
       まずは、読み手と聞き手が絵本を通してコミュニケーションをとっているということを忘れないようにするとよいと思います。読むときにはゆっくり、はっきりと読むことを心掛けてみてください。子どもには、読み手がゆっくりすぎるのでは?と思うぐらいでちょうどよいぐらいになります。

       声の大きさにも注意してみるとよいでしょう。子どもとの距離に注意して十分聞こえるような音量で読んであげるようにしてみてください。聞き手の状態を見ながら、まるで会話をするかのように読み進めてみてください。その時には、子どもが絵本の世界に入りやすいように、時には子どもの目線を誘導することも必要な場合があります。でも決して、「〇〇はどうだった?」などと前に出てきた内容を確かめるような質問をしないようにしてください。読み始めたら、最後まで読み進めることを心掛けてください。欧米ではページごとに絵本を指さして“What’s this?”などのように内容を確認しながら読んでいくスタイルが主流ですが、日本では、そのようなことはしません。内容を理解するということに力点を置いているのではなく、子どもの創造性を育みところに力点をおいているためです。

       とにかく、絵本の読み方にうまい、ヘタはありません。コミュニケーションするような気持で聞き手の感情に注意しながら読んであげるだけで、子どもには読み手の思いが伝わっていきます。恐れずに、楽しそうに読んであげることが大切です。その際に、ひざの上に子どもを乗せたりしてスキンシップをとってあげるとさらに距離が近づきますよ。
       絵本を読んであげるときにも、「面白い絵本があるから一緒に読もう」というように読んであげるというよりも子どもと「一緒に読む」という感覚で子どもの感情をゆすぶってみてください。
    • 絵本を子どもに読み聞かせる上での留意点Part2
      絵本を子どもに読み聞かせる上での留意点Part2
       絵本を読む際には、聞き手という相手がいることを踏まえて読む必要はあります。絵本はコミュニケーションの一環であると、再三にわたりお伝えしていますので、読者のみなさんには十分にその意味を理解していただけていると思います。これさえ押さえていただければ、基本的に絵本をどう読むかは読み手の自由です。ただし、やってはいけないことが少しあるので、お知らせしておきたいと思います。
       保育の現場で絵本を読み終えた後に、子ども達にお礼を言わせている姿を目にすることがあります。例えば、保育者が2人いる場合に、読んでいない保育者が読み終えた直後に、「みんなでありがとうとお礼を言いましょう」とか、「なんていったらいいかな?」などと誘導しているような場合です。基本的にどちらもよくない行為です。家庭では、「ありがとう」と言わなければ次に読んであげないというようなルールを作るような場合、これもよくない行為です。子どもが感じた感情や思いを大事にするということが、感性を豊かにしていくことにつながるのですから、大人の価値観を思いもしていない子どもに押し付けるのはよくありません。本当に読んでもらって嬉しかったら子ども達の口から自然に「ありがとう」という言葉が生まれてくるはずです。
       物語絵本の場合だと、子どもがそこで面白いと感じると必ず、「また読んでほしい」という言葉が返ってきます。物語絵本はその内容を完璧に理解させることが目的ではありません。読んでもらって楽しい、面白いという子どもたちの感情をぜひ大切にしてください。
    • お父さんも絵本の読み聞かせをしてみてください
      お父さんも絵本の読み聞かせをしてみてください
       やまなみ幼稚園では、1学期の午前中に、希望者が子ども達と一緒に普段の保育に参加できる「保育参加」という取り組みがあります。年によって参加率にばらつきがありますが、35~50%ぐらいの保護者が参加されます。

       その際に、絵本の読み聞かせをされる保護者が絵本を選ぶときに、「〇〇を読もうと思っていたんですが、〇〇は先生に読んでもらっているようなので、やめておきます」と言われることがあります。そのような場合、私たちは「ぜひ〇〇を読んであげてください」とお願いするようにしています。保護者からすると、子ども達が〇〇という絵本を読んでもらっているのでその内容を知っているからやめた方がよい、と思ってのことだと思いますが、同じ絵本でも読み手が変われば、それは全く別の絵本に変化します。読み手と聞き手のコミュニケーションを、絵本を通して行う、というように考えていただければ、納得していただけるのではないかと思います。ですから、ぜひご家庭でも同じ絵本であってもお父さんが読まれるとお子さんには全く別のものとして映ります。ぜひ、時間を見つけては読んであげてみてください。
       同様に同じ絵本でも子ども達が好きな絵本は何度でも読み聞かせてあげてください。その時々で子ども達は違った思いを感じています。大人でも気に入った映画は何度でも見ますよね。そのような大人の感覚と同じようなものです。
  3. 3.絵本を読むと言葉が増えるの?
    • 子どもの言葉を豊かにしていくには
      子どもの言葉を豊かにしていくには
       子どもが幼稚園に入園する3歳までは、大人は子どもにとって、発話を聞いてくれる存在、自分の言葉を代弁してくれる存在とならなければなりません。このような存在になることで、子どもが話してみたい、と思えるような環境を作っていくことができます。話したいと思える環境に自分自身がなりえているのかを考えてみる必要があります。そして応答的対応と言われますが、子どもの言葉に対して丁寧に応えていく姿勢が大切です。まだ言葉がわかっていないから適当でよい、と考えるのは間違っています。生後数か月で子どもは見聞きができるようになっています。言葉は発することができなくても、人との対応はしっかりと感じています。ぜひ、言葉は話さないけれども理解している存在として捉え、保護者自身が感じたことも積極的に言葉にしてお子さんに伝えるようにしてください。そうすることで、お子さんの話したいという気持ちを引き出すことになり、お子さんの言葉を豊かにしていくことができるようになります。
    • 子どもの語彙の獲得過程
      子どもの語彙の獲得過程
       人は話し始めるのにその準備を生まれてしばらくして行います。クーイング、喃語などという言葉を聞かれたことがあるかと思います。1歳までの間に言葉にはなっていませんが、そのような準備期間を経て、単語から話し始めていきます。生まれてから2か月ぐらいまでの間は、何も見聞きをしていないように思えますが、実は赤ちゃんはしっかりと見聞きしています。ですから、赤ちゃんにかかわる大人は、この事実を踏まえて、赤ちゃんの顔を見ながら話しかけることが大切であると言えます。そして、だいたい生後3か月ぐらいになると自分の発声に対して、自分の周りの人が応答してくれることに気付いていきます。4か月にもなれば、母親と見知らぬ人との顔を見分けることもできるようになってきます。このように赤ちゃんは生後すぐから、大人が想像している以上のスピードで発達していくわけです。
      1歳ごろになると初語が表れてきますが、その後はこの状態が6か月ぐらい続きます。1歳半から2歳にかけては単語を組み合わせて話す2語文が登場してきます。例えば、「ぼく、いく」などのようなもので、自分の意思を表すこともできるようになるのがこの時期です。幼稚園への入園ぐらいの時期では3語文が表れ始めます。早い子どもだと、2~3歳ごろには接続詞を使って文章をつなげることができるようになったり、行為の理由を説明したりすることができるようになります。
      語彙数の増加は幼稚園入園前の3歳ぐらいで1000語ぐらいに到達すると言われています。そして小学校に進学するまでには、2500語ぐらいの語彙の獲得があり、しりとりなどの言葉のゲームもできるようになります。
      これはあくまで標準的な言葉の獲得の流れです。人の言葉の獲得はかなりの個人差があります。この個人差は子どもが置かれている環境に左右されます。例えば、比較的無口なご両親に育てられた場合と、よく話をされる両親に育てられた場合は、子どもの語彙数に違いがある場合があります。また同じ家庭であっても性別や出生順位によって異なる場合もあります。ここで示す語彙数は標準的な目安です。この語彙数に達していないからと言って、即発達的に課題を抱えているかというとそうではありません。しかしながら、3歳を超えてまったくの発話がない場合、心配な方は心理士等の専門家に相談されることをお勧めします。
    • いつまで絵本の読み聞かせをすると良いのでしょうか?
      いつまで絵本の読み聞かせをすると良いのでしょうか?
       年長児ぐらいになると「うちの子どもは字がわかるようになってきたので、自分で絵本を読んでいます。もう読み聞かせをしていません。」というような声を聞くことがあります。このような場合、往々にして言えることは、文字を目で追っているだけの伝え読みであって、物語のストーリーは頭の中には入ってきていません。もちろん、伝え読み自体を否定することではありません。自分で絵本を読むようになってきたからといって、絵本の読み聞かせをやめてしまうのは少し考えた方がよいという意味です。結論から言うと両者にそれぞれちがった役割があるので、子どもが文字を読めるようになっても絵本の読み聞かせは続けてくださいということになります。幼児の年代で、自分で絵本を読む子どもは、絵本のストーリーに興味があるというよりも、文字に興味があると捉える方が自然です。読み聞かせはそのストーリーの理解に重きを置いていると捉えるわけです。ですから、両者は別々の役割になるので、伝え読みができるようになった子どもにもできるだけ読み聞かせを継続してくださいというようになります。
       では、いつまでを目途に読み聞かせをしたらよいのか、という疑問が生じてくると思います。この答えは、子どもが文字を自分ですらすらと読め、ストーリーの理解が可能で、「読んであげようか」という問いに、「自分で読めるからいい」という答えが返ってくる時まで、というようになります。おおむね、小学校の3~4年生ぐらいまででしょうか。子どもが自分で絵本を読むということと、読み聞かせるということとは、幼児期において両者には役割の違いがあるということを忘れないようにしていただければと思います。

ペープサートの作り方

ペープサートは立絵と言われるもので、平面に描かれた人形と思っていただければ良いかと思います。裏表に登場人物(主に動物)の異なる表情を描き、声色を変えたりしながら、あたかもその登場人物が話しているかのようにして演じる際に使用するものです。年齢が低い子どもにはこのペープサートがとても有効です。年少児の日常保育ではこのペープサートが活躍します。ペープサートの登場人物に名前を付けて演じてみると不思議なことに子ども達はしっかりと話を聞いてくれます。簡単に作ることができますので、ご家庭でも、お子さんとのコミュニケーションの道具として試していただけると、とても威力を発揮してくれると思います。演じ方も見ていただけますので、ぜひ試してみてください。

ペープサートを使ってみよう

当園の新人保育者が、ペープサートを演じています。